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大阪地方裁判所 平成5年(わ)189号 判決

本店所在地

大阪府八尾市山本町南一丁目九番二四号

株式会社

リフレックス

(右代表者代表取締役 平川智光こと鄭智光)

本籍

韓国

住居

大阪府柏原市上市四丁目一番二二号

会社役員

平川智光こと鄭智光

一九五〇年九月二五日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社リフレックスを罰金二六〇〇万円に、被告人平川智光こと鄭智光を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人平川智光こと鄭智光に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社リフレックス(平成元年七月一四日、商号を株式会社江原観光から変更。以下、「被告会社」という。)は、大阪府八尾市山本南一丁目九番二四号に本店(平成二年九月二七日本店を大阪市生野区勝山北一丁目八番六号から移転)を置き、パチンコ店経営等の風俗営業を営むもの、被告人平川智光こと鄭智光(以下、「被告人」という。)は、昭和六二年一二月二六日から被告会社の実質的経営者として、その業務全般を統括し、昭和六三年三月九日から被告会社の代表取締役に就任しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和六二年一二月一日から昭和六三年一一月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億三〇二七万八六一四円で、これに対する法人税額が五三七五万六七〇〇円であるのに売上の一部を除外するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成元年一月三一日大阪市生野区勝山北五丁目二二番一四号所在の所轄生野税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一四六一万七二一〇円でこれに対する法人税額が五三三万九一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、右事業年度の法人税四八四一万七六〇〇円を免れ(別紙1の修正損益計算書及び別紙4の税額計算書参照)

第二  昭和六三年一二月一日から平成元年一一月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億二五九二万七四六円で、これに対する法人税額が五一八一万九二〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成二年一月三一日前記生野税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一三六四万七六四七円でこれに対する法人税額が四六六万四五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、右事業年度の法人税四七一五万四七〇〇円を免れ(別紙2の修正損益計算書及び別紙4の税額計算書参照)

第三  平成元年一二月一日から平成二年一一月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が五七二七万四一六七円で、これに対する法人税額が二一五〇万五三〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成三年一月二九日、大阪府八尾市高美町三丁目二番二九号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一四九五万一六二円でこれに対する法人税額が四五七万五七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一六九二万九六〇〇円を免れ(別紙3の修正損益計算書及び別紙4の税額計算書)

たものである。

(証拠の標目)<注>括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てんまつ書

一  岩井寿子こと李壽子の大蔵事務官に対する質問てんまつ書二通

一  検察事務官作成の搜査報告書

一  収税官吏作成の査察官調査書一三通(8、9、15ないし25)

一  収税官吏作成の査察官調査書報告書(32)

一  法人の登記簿謄本

一  閉鎖した役員欄の用紙の謄本

判示第一及び第二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(10)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)

一  大蔵事務官作成の証明書(4)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

一  大蔵事務官作成の証明書(5)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)

一  大蔵事務官作成の証明書(6)

一  収税官吏作成の査察官調査書四通(11から14)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示各所為につき、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して、罰金額をその免れた法人税の額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金二六〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松下潔)

別紙1 修正損益計算書

〈省略〉

別紙2 修正損益計算書

〈省略〉

別紙3 修正損益計算書

〈省略〉

別紙4 税額計算書

〈省略〉

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